格闘戦を念頭に置いて作られた零戦に乗り馴れた搭乗員からすれば航続距離の短さと共に雷電の運動性能には不満があったようだが、主任務たる大型爆撃機迎撃においては格闘性能を犠牲にして他の性能を活かすのは当然のことであり、乗り馴れてしまうとその急降下性能、加速、上昇力、強武装を気に入り「雷電こそ日本一の機体」とするパイロットもいた。
これは戦後のアメリカによるテストによっても認められているが、同クラスの高速戦闘機中では運動性能に於いては傑出していたと言われている。
とりわけ小振りな主翼と良好な舵の利きが相まって、横への動き、ロール特性においては日本随一の機体であった。対戦闘機戦でもF6F、F4Uを相手にすれば互角以上、二次大戦中最優秀機(レシプロ機中)といわれる P-51には総合的に適わないものの、厚木空の赤松貞明中尉は雷電を駆って、白昼B-29に随伴して来たP-5 1を2機撃墜を果たす戦果を挙げるなど善戦した。当然、パイロットの技量に負うところは大きいのだが、P-51に対し雷電がある程度善戦した証しとも見られる。
★見かけによらない敏捷性