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『キ-64異聞』 表紙にもどる
 数回離着陸や復航を繰り返して、最後にちょっと上まで上がってみようとしたのが運の尽きだったね。2,000m(高度)くらいまで昇ったあたりで後部エンジンが異常振動をはじめて排気管から火が出ている。異常燃焼かな。脱出も考えたけどね、貴重な機体でしょ。ともかく下までもっていこうと。結局滑走路までとどかず、手前の草っ原に降りちゃった。機体?脚が折れてペラが地面を叩いたもんだから、試験はそこで終わっちゃいましたよ。

●軍事研究誌『潮流』スペシャル版「テスパイ稼業」より


 いくら三式戦、五式戦の生産、改修、修理が優先だとはいえ、あれだけ苦労した開発をそう簡単に諦められるもんじゃありませんよ。出火の原因もほぼわかっていましたし、前後ペラのVDM可変ピッチ式への改装に伴うエンジン修理も当然しているでしょう。私は途中で開発のメンバーからはずされ、フィリピンで飛燕の現地修理に回されてしまったから残念ながらその後は・・・

●月刊「桜と翼」昭和60年4月号「川崎のプライド」より