ハリネズミの様に機銃を施し、密集隊形で高高度を飛ぶ、防弾に優れた高速のB-29をどう攻撃し墜とすか。その答えが『直上方攻撃』であった。
『直上方攻撃』とは、予め敵機上空に占位した後、約 45度の降下角をもって突入を開始し、背面飛行から垂直降下に入り、敵操縦席から主翼付け根付近を銃撃、敵機の横をすり抜け降下し離脱するという攻撃法で、対敵面積を最小に保ちながら高速で一撃をかけるという、いわば『すれ違いざまの一太刀』といった趣があった。
しかし、高高度を飛来するB-29の上空に占位するのはターボチャージャーを持たない雷電には至難の技で、編隊を組む事もままならず、またスピードのあるB29に対し、高高度で反復攻撃を仕掛けるのは事実上不可能に近かった。無線設備の貧弱さもあいまって敵の詳細な位置の把握も難しく、運良く会敵した場合のみの単機による捨て身覚悟の一撃。これが専らとなった。
★一撃必殺!! 対B-29