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『キ-64異聞』 表紙にもどる
 川崎ki-64は、昭和15年はじめの陸軍の指示を以って開発に着手、北野技師を主務者とし昭和1 8年12月に1号機が完成、初飛行を行った。初飛行には成功したものの、5回目試験飛行の際、後部エンジン潤滑油系統から発火。さらに緊急着陸の際片脚を折り、プロペラを曲げてしまうというアクシデントが起こった。機体はその場で修理されたが、プロペラ換装のため工場に戻された。しかし当の明石工場はエンジン増産で手いっぱいの状態で、ki-64の修理に振り向ける余力など全くなかった。故障したki-64は工場の片隅におかれたまま終戦を迎え、進駐してきた米軍に接収され、その行方は不明となっている。

●軍事研究誌『潮流』昭和48年4月版「日本陸軍試作戦闘機」特集より